私とピンチと前歯の脱臼
お世話になっております。
茨城県民の酒葉(bucchya)です。
今週のお題、「人生最大のピンチ」ということで、私が個人的に生死をさまよった中学生の時のあるエピソードを紹介したいと思います。
じつは、私の上の前歯4本には血が通っておりません。神経も通っておりません。
これは、とある事故が原因でした。
当時、中学生の私は、少林寺拳法部に所属しておりました。
今思い返せば、なかなか主体性があるなと思うのですが、練習メニューは自分達で決めておりました。
そんな自分達で入れていた練習メニューの中に、トレーニングと称してケイドロ的な鬼ごっこが含まれておりました。
トレーニングなので本気の鬼ごっこ、それも中学生12人ぐらいの本気の鬼ごっこでした。
そんな鬼ごっこをしていたある日、事件は起きました。
あの時、たぶん私は追いかける側だったと思います。
追いかける相手を見定めながら走っているとき、ふと横に気配を感じました。
気を巡らしていた私は運の悪いことに、その方向を向いてしまいました。
すると、その方向にはすごい勢いで突っ込んでくる友人の頭がありました。
その時、私の意識は飛びました。
あたりは真っ暗になりました。
なにか選択肢が出てきました
「まだ、人生続けますか」と。
私は
「もう少し…続けてみるよ」と
その中で言ったと思います。
目が開きました。
どうやら、あたりは血まみれでした。
ぶつかったと思った場所から2mほど離れていたように思えます。
血は、口から出ていました。
それも、こんこんと湧き出てきます。
なんだか上の歯がゆるゆるします。
すごく取れそうです。
どうやら歯の付け根から、血が湧いているようでした。
私は、その今にも落ちそうな前歯を、手で無理やり押し込み、そのまま押し込み続けました。
血が全然止まらないので、とりあえず保健室に行くことにしました。
私と衝突した友人が肩を貸してくれました。
とりあえず大丈夫だからってことで、2人で保健室に行くことにしました。
どうやら不幸中の幸いで友人の頭は大変固かったようでした。
私は血まみれになったにも関わらず、彼は頭に歯の跡が少し付いただけだったようです。
血をポタポタ、足はヘロヘロの状態でなんとか保健室にたどり着きました。
保健室にたどり着いて少し落ち着くと、だんだんと痛みと不快感を感じてきました。
なんとか家族の迎えを呼んでもらい、なんやかんやあって衝突から2時間後ぐらいに歯医者で治療を受けることができました。
結局のところ、私の上の前歯4本は脱臼していたようでした。
衝突時に歯の中の血管と神経はブチ切れ、もう復活することはありません。
治療法としては、ひどい虫歯と同じように、歯の中の残った神経と血管を取り除き、何度も綺麗にしたあとに、被せものをする感じです。
なんとも不運な事故でしたが、このピンチの中にもいくつかの幸運がありました。
それは私が当時、歯の矯正をしていたことです。
顎が小さく、歯並びが悪かった私は、中学1年生から歯の矯正をしていました。
少しずつ顎を大きくしていき、中学3年生の時にワイヤーで歯並びを調整する段階になりました。
そして、あの事故が起きたのは、歯の矯正が終わる2週間前でした。
もし、歯の矯正が終わったあとにあの事故が起きていたら、私の前歯はワイヤーにくっついておらず、吹き飛んでいたことでしょう。
また、ぐらついた歯を手でずっと押し込み続けることができたのも、ワイヤーで歯が連結していて抑えやすかったからでしょう。
そもそも歯の矯正を親がはじめてくれなければ、そういった救いもなかったのでしょう。
健康な歯で、綺麗な歯並びとなることは叶いませんでしたが、歯の矯正をしたことは意味のあったことなのだと思っています。
それに、前歯に神経が通ってないので、知覚過敏にならないという強みもできました。
無駄に治療費と時間がかかってしまったことは、はなはだ残念でなりませんが、私は特にそれ以上のことは思っておりません。
しかしながら、私があの事故の時に見た、暗闇の中の選択肢はなんだったのでしょうか。
おそらくあの暗闇は、歯の神経が4本分同時に切れた痛みで気絶した結果なのでしょう。
でも、あの選択肢は…
思うにあれは、私にこれから起きる全てのことに覚悟を決めさせる「決意」の現れだったのでしょう。
あの程度のことでは人は死にません。
しかし、頭は、これから色々な辛いことが待ち受けていると知っていたのでしょう。
だから、あえて、改めて自分で決めさせたのかもしれません。
私はあの事故以来、なにか嫌な事態があったとしても、「これは自分で選択した人生なのだ」と思って取り組むことにしています。
大きなピンチに出会うことで、人はそれに見合う覚悟と決意を得られるのかもしれません。
それと、皆さんが鬼ごっこをするときは、広い場所でしっかり前を向きながら走ってくださいませ。